【徹底解剖】MSCI コクサイ・インデックス(MSCI KI)

 

 

この記事でわかること

MSCI コクサイ・インデックス(MSCI KI)とは、先進国22か国に上場する大型株・中型株で構成された時価総額加重平均型の株価指数である。

MSCIコクサイ・インデックス(MSCI KI)を構成する銘柄のウエイトは、全体の70%以上が米国の株式となっている。

MSCI コクサイ・インデックス(MSCI KI)は、日本人向けの株価指数であり、日本の資産と合わせてことで、個人投資家のポートフォリオを構築しやすくする。

 

たま男

日本の株式を投資対象とした投資信託を購入したから、今度は日本以外の先進国を対象とした投資信託を購入してみようと思うんだけど……。

井上とまと

分散投資に則ったポートフォリオを構築しているね。ちなみに、米国の株式を投資対象とした投資信託は保有している?

たま男

持ってないかな。

井上とまと

それなら、日本を除いた先進国を対象とした株価指数であるMSCI コクサイ・インデックスに応じた投資信託をおすすめするよ。

たま男

MSCI コクサイ・インデックス……。もしかして、MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックスとかと関係がある。

井上とまと

うん。何となくわかると思うけど、指数を算出・公表している会社が同じなんだ。

たま男

へー。それなら、MSCI コクサイ・インデックスについて、もっと詳しく教えてよ。

井上とまと

OK。まずは概要から説明していくね。

 

MSCI コクサイ・インデックス(MSCI KI)
日本を除く先進国の株価動向を示す代表的な株価指数です。先進国22か国に上場する1,200~1,300の大型株・中型株で構成されており、先進国の株式市場の時価総額の約85%をカバーしています。浮動株ベースの時価総額加重平均で算出されており、組入銘柄の見直しは2月、5月、8月、11月末の四半期に一度実施されます。MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)社が提供するMSCI指数の1つで、投資信託や上場投資信託証券(ETF)のベンチマークに利用されています。

 

たま男

22か国の株式で構成されているんだね。

井上とまと

指標の対象となる先進国、セクター、構成銘柄の数はその時の状況に応じて変動するんだ。当然、対象となる国や地域も増減するけど、先進国の株式の時価総額の約85%をカバーしていることに変わりはないんだよ。

たま男

指数の名称に「コクサイ」って文字があるけど、日本を除いた指数なのに日本語っぽい言葉が使われているのが面白いね。

井上とまと

MSCI コクサイ・インデックスは明らかに日本人向けに算出されている指数なんだよ。君と同じように、日本人なら日本の資産を持っているはずだから、分散性を意識するなら海外の資産に目を向けければならない。そこで、あえて日本を除いた指数を生み出すことで、日本人のニーズにコミットしたものになっているんだ。

たま男

なるほどね。

井上とまと

では、MSCI コクサイ・インデックスをより詳しく見ていこう。

 

 

MSCIコクサイ・インデックスを構成する代表的な銘柄

 

たま男

MSCI コクサイ・インデックスは、1,200以上の銘柄で構成されているってことだけど、さすがにトップ10を知っておいてもそんなに意味はないよね?

井上とまと

意味がないってことはないけど、MSCI コクサイ・インデックスに応じて投資する投資信託を選ぶってことは、分散投資を目的としているだろうから、1銘柄の影響がどうのこうので話していてもしょうがないね。

たま男

それなら、何を知っておいた方が良いのかな。

井上とまと

一番知っておくべきことは、構成銘柄の地域・国別のウエイトだろうね。どの地域・どの国の銘柄を多く組み入れているのか、そのウエイトはどの程度のものなのかを知っておくことで、目的としている「分散性の程度」がわかるんだよ。

たま男

ということは、地域・国別のウエイトに偏りがあるってことだね。早速、教えてよ。

 

MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックスの地域・国別のウエイト(2022年6月)

地域・国ウエイト(%)
米国73.18
英国4.71
カナダ3.84
フランス3.31
オーストラリア3.09
その他の地域11.86

MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックスの上位構成銘柄(2022年6月)

銘柄地域・国ウエイト(%)
Apple:アップル米国4.84
Microsoft:マイクロソフト米国3.97
Amazon.com:アマゾンドットコム米国2.11
Alphabet A:アルファベット A米国1.42
Alphabet C:アルファベット C米国1.35
Tesla:テスラ米国1.28
UnitedHealth Group:ユナイデッドヘルスグループ米国1.05
Johnson & Johnson:ジョンソンエンドジョンソン米国1.01
NVIDIA:エヌビディア米国0.82
Meta Platforms A:メタプラットフォームA米国0.81

 

たま男

米国の株式が全体の70%以上のウエイトを占めているんだね。

井上とまと

MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックスは日本、中国、台湾などの東アジアの地域にもウエイトがあったけど、MSCI コクサイ・インデックスではそれらの地域が除外され、その分が米国に乗った感じだね。

たま男

個別銘柄で見てもウエイトの上位は米国だらけだね。S&P500指数の上位構成銘柄とほとんど同じ感じ。

井上とまと

分散性が高いとはいえは、前提として投資性は保たなければならないわけだから、必然的に米国の株式のウエイトが高くなるんだ。世界情勢によって変動しているけど、当面はこの調子が続くかな。なんだったらウエイト75%を超えてくるだろうって予測している専門家もいるんだ。

 

チャート分析

 

 

2020年:新型コロナウイルスが世界を支配した年

  • 2月:新型コロナウイルス(COVID-19・武漢肺炎)の流行により急落
  • 3月:ニューヨークのロックダウンの影響により底をつく(1618.68ポイント)
  • 5月:ロックダウン解除による株式の買戻し
  • 9月:米国の大統領選による先行きの不透明感から下落
  • 11月:米国の大統領選の終結とワクチンの実用化への期待により上昇
  • 11月:金融緩和も継続されて2,700ポイントを超える

 

たま男

S&P500指数とほとんど同じ形だね。

井上とまと

構成銘柄のウエイトの70%以上を米国の株式が占めているわけだから、当然といえば当然だね。加えて、ウエイト上位の英国やカナダ、オーストラリアの株式は、米国の株式市場の影響を強く受けるからなおさらだよ。

たま男

ということは、チャートの変動も米国の株式市場の動きを押さえておけばいいってことになるね。

井上とまと

そのとおり。ただし、S&P500指数なんかよりは米国以外の地域の状況の影響を受けるから、多少は米国以外にも目を向けておいた方が良いね。

 

2021年:コロナ・ショック後の歴史的な株高を経験した年

  • 1月:米国の連邦議会議事堂の襲撃・占領とバイデン新大統領就任
  • 4月:算出開始から初の3,000ポイントに
  • 6月:世界多くの地域でワクチン接種率が50%以上に
  • 8月:新型コロナウイルスの変異株(デルタ株)の影響でやや停滞
  • 10月:中国の大手不動産会社のデフォルト危機や原油価格の高騰に伴う下落
  • 11月:米国の連邦準備制度理事会(FRB)が量的緩和の段階的縮小を決定

 

たま男

最高値は12月29日の3,351.66ポイントだね。

井上とまと

1年を通してほとんど下落することなかったんだ。だから、チャートの転換点を書き出すのも大変だった。

たま男

ほんと直線的に伸びてるよね。新型コロナウイルス後のボーナス期間と言われているのもわかる気がする。

井上とまと

指数のチャートでここまできれいな右肩上がりもそうそうないからね。でも、順調なチャートも2021年11月までなんだよ。

たま男

FRBが量的緩和の縮小を決めたから?

井上とまと

そういうこと。段階的な緩和で2022年は2021年ほどの伸びは期待できないと大方の投資家は考えていたんだ。まさかそれ以上に展開になるとは……。

 

2022年:世界的な原油高とロシアのウクライナ侵攻

  • 原油高の影響で年初から徐々に下落。
  • ロシアのウクライナ侵攻の影響もあり、5月に再び2,700ポイント台に。

 

井上とまと

2022年はまだ始まったばかりだから、今後の動向を注視していくしかないね。

たま男

金融緩和の縮小度合い、原油高、ウクライナ侵攻の帰結次第ということかな?

井上とまと

世界情勢の変化に伴う物価の上昇が現在進行形で進んでいるね。どちらも株式市場にはプラスにもマイナスにも起因するからバランスが大切だね。

井上とまと

加えて、ウクライナ侵攻(というよりはロシアの出方)次第で、世界の在り方や価値観が変わってくる可能性もあるよね。そうなったら、だれも予測できないようなチャートになっていくだろうね。

 

他の指数との比較

 

井上とまと

次はMSCI コクサイ・インデックスと他の指数を比較してみよう! 改めて、2020年1月から2022年5月の日経平均株価のチャートを見てみよう。

 

MSCI コクサイ・インデックスの2020年1月~2022年5月のチャート

 

たま男

2020年3月に底(1618.68ポイント)をついてから、約10か月後の2021年12月に1,000ポイント上乗せした2,700ポイント台に到達。そこからさらに伸び続け、約25か月後の2021年3月に過去最高の3354.64ポイントを記録。以後は少しずつ下落し、2022年5月末時点で2,800ポイント付近になっている感じだね。

井上とまと

そのとおり。比較のポイントは大まかに言うと、①新型コロナウイルス第1波からの回復過程(2020年1月~2021年3月)と、②回復後から現在まで(2021年3月~2022年5月)の変化の2つを見ていくことになるよ。

 

日経平均株価(日経225)の2020年1月~2022年5月のチャート

 

たま男

日経平均株価は日本の代表的な株価指数だったよね。

井上とまと

そのとおり。日経平均株価とMSCI コクサイ・インデックスを比較すると、日経平均株価が新型コロナウイルスの第1波の底(2020年3月)~2021年3月の間に停滞期間があるのに対して、MSCI コクサイ・インデックスはほとんど直線的に上昇しているね。

たま男

そうだね。これは米国の株式市場の影響を受けているからかな。

井上とまと

米国ではワクチン接種やWithコロナの浸透が早く、経済の停滞は日本よりも短期間で抑えられたんだよ。停滞したのも2020年の大統領選挙の時期だけだったし。

たま男

日経平均株価とMSCI コクサイ・インデックスのチャートを並べても、比較のポイントになっている①のかたちは似ているけど、②のかたちは全然違うね。

 

S&P500指数の2020年1月~2022年5月のチャート

 

たま男

2つのチャートはほとんど同じ形になっているね。

井上とまと

MSCI コクサイ・インデックスは、前にも説明したとおり、構成銘柄のウエイトの70%以上が米国の株式だし、その他の地域も米国の株式市場の影響を受けている地域ばかりだからね。同じような形になるのは当然だよ。

たま男

でも、よーく見てみると、S&P500指数よりもMSCI コクサイ・インデックスの方がより安定して伸びているように見えるね。

井上とまと

するどい。S&P500指数は米国の株式だけを対象とした指標だけど、MSCI コクサイ・インデックスは全世界を対象とした指標だからね。たとえば、S&P500指数は大統領選の影響で2020年9月~11月に停滞したけど、MSCI コクサイ・インデックスは他の地域の状況でわずかに相殺されて、緩やかな伸びの形になっているんだ。

 

MSCI コクサイ・インデックスをベンチマークとする代表的な投資信託(つみたてNISA対応限定)

 

商品名信託報酬トータルリターン(平均年率)
たわらノーロード・先進国株式0.1099%19.45%
たわらノーロード・先進国株式(為替ヘッジあり)0.2200%17.32%
iFree 外国株式インデックス(為替ヘッジあり)0.2090%15.68%
iFree 外国株式インデックス(為替ヘッジなし)0.2090%25.96%
東京海上セレクション・外国株式インデックス0.2200%27.27%
ニッセイ・外国株式インデックスファンド0.1023%20.81%
野村・インデックスファンド・外国株式(愛称:Funds-i 外国株式)0.6050%32.09%
野村・インデックスファンド・外国株式・為替ヘッジ型(愛称:Funds-i 外国株式・為替ヘッジ型)0.6050%16.79%
野村・スリーゼロ先進国株式投信0.0000%48.61%
外国株式指数ファンド0.5500%28.99%
SMBC・DCインデックスファンド(MSCI コクサイ)0.1023%30.21%
i-SMT・グローバル株式インデックス(ノーロード)0.2090%19.27%
SMT・グローバル株式インデックス・オープン0.5500%14.33%
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス0.1023%17.15%
eMAXIS 先進国株式インデックス0.6600%28.90%
つみたて先進国株式0.2200%20.84%
つみたて先進国株式(為替ヘッジあり)0.2200%15.06%
Smart-i 先進国株式インデックス0.2200%21.19%

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たま男

トータルリターンが年率50%近い商品もあるんだね。

井上とまと

バランス型の投資信託とまでは言わないけど、分散投資が目的の1つとなる指標に応じた商品にもかかわらず、高い収益性が期待できそうだね。しかも、信託報酬もかなり抑えられているね。

たま男

分散性とコスト、そして収益性。随分とハイブリッドな指数なんだね。人気があるのも頷けるな。

 

まとめ

 

MSCIコクサイ・インデックス(MSCI KI)についてお話してきました。最後に、もう一度まとめると、MSCI KIは、

 

MSCI コクサイ・インデックス(MSCI KI)とは、先進国22か国に上場する大型株・中型株で構成された時価総額加重平均型の株価指数である。

MSCIコクサイ・インデックス(MSCI KI)を構成する銘柄のウエイトは、全体の70%以上が米国の株式となっている。

MSCI コクサイ・インデックス(MSCI KI)は、日本人向けの株価指数であり、日本の資産と合わせてことで、個人投資家のポートフォリオを構築しやすくする。

 

という特徴があります。

 

また、MSCI KIは、多くの投資信託や金融商品の指数に使われています。

投資の初心者もベテランも、MSCI KIの理解は必須条件となるでしょう。

 

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