【完全保存】従業員が退職したときの手続き

 

 

従業員が退職したときの手続きに関するおおまかな流れは、次のとおりです。

 

  • 退職の意思表示:退職届を受理する
  • 退職日まで:従業員が行う手続きをアナウンスして必要な準備を進める
  • 退職日の翌日:従業員の社会保険の資格が喪失する
  • 退職日の翌日から5日以内:社会保険の資格喪失手続きを行う
  • 退職日の翌日から10日以内:雇用保険の資格喪失および離職票の発行手続きを行う

 

これから、①~⑤の流れの詳細を説明していきます。

 

 

退職の意思表示

 

従業員からの退職の意思表示は、最終的に退職届(文書)のかたちで受理します。

退職届を受理したら、退職後の連絡先と離職理由を確認します。諸々のやり取りや手続きで必要になります。

連絡先は既知でしょうし、離職理由は退職届に記入されている場合が多いため、改めて確認する必要はないかもしれません。ただし、退職を機に住所が変わる場合や、退職届に離職理由が記入されていない場合は、必ず確認しておきましょう。

年次有給休暇が残っている場合は、退職日の前日までまとまった休みを取ることありますので、退院日までの出勤スケジュールを確認し、後の流れの予定を立てておきます。

 

退院日まで

 

従業員の健康保険証を回収しなければなりません。ただし、健康保険証の効力は、退職日まで(退職日の23時59分59秒まで)続くため、回収のタイミングは従業員の意向も含めて決めます。

従業員は、退職した後に社会保険(健康保険や公的年金)や労働保険(雇用保険)の手続きを行わなければなりません。すぐに転職するか、しばらく(転職活動を行いながら)休むかによって手続きが異なるため、従業員の退職後の計画に応じて手続きの案内をしましょう。

従業員が退職後に行う手続きについて、別の記事を参考にしてください。

 

退職日の翌日

 

社会保険(健康保険・厚生年金保険)は、退職日の翌日に資格を喪失します。このタイミングで健康保険証を回収するのが理想的です。

会社が行う「従業員が退職したときの手続き」はここから始まります。

 

退職日の翌日から5日以内

 

社会保険(健康保険および厚生年金保険)の資格喪失手続きは、退職日の翌日(=資格喪失日)から5日以内に行わなければなりません。

 

資格喪失手続きには、次の2つのパターンがあります。

  • 全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入している会社の場合は、管轄する年金事務所に、健康保険証に「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格喪失届」を添付して提出します。
  • 健康保険組合に加入している会社の場合は、管轄する年金事務所に、健康保険証に「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格喪失届」を添付して提出し、「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格喪失届」を健康保険組合にも提出します。
井上とまと

退職する従業員が70歳~74歳の場合は、健康保険証に加えて、高齢受給者証も回収して提出します。

 

社会保険(健康保険および厚生年金保険)の資格喪失手続きに必要な書類は以下の2つです。

「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格喪失届 / 70歳以上被用者不該当届」

「健康保険 被保険者証回収不能届」

このうち、②は従業員が健康保険証を紛失した場合に提出します。

 

入社の翌月10日まで

 

雇用保険の資格喪失手続きは、退職日の翌日(=資格喪失日)から10日以内に行わなければなりません。管轄する公共職業安定所(ハローワーク)で資格喪失手続きを行います。

 

雇用保険の資格喪失手続きに必要な書類は、以下の2つです。

「雇用保険 被保険者資格喪失届」

「雇用保険 被保険者離職証明書」

②は従業員が離職票を求めなければ提出する必要はありません。ただし、諸々の事情で離職票が急に必要になる場合もありますので、求められていなくても、離職証明書も併せて提出しておいた方がいいでしょう。また、離職証明書は内容を従業員に確認してもらい、記入事項の間違いがないことの同意を得ておかなければなりません。

井上とまと

離職票は雇用保険の失業給付を受けるときに必要になります。

 

資格喪失届を提出するときは、以下のような書類も添付しなければなりません。

  • 労働者名簿・賃金台帳
  • 出勤簿(タイムカード)
  • 雇用契約書
  • 退職届
  • 辞令・定年などの規定   など
井上とまと

雇用保険の資格喪失手続きが完了すると、公共職業安定所(ハローワーク)から「雇用保険 被保険者資格喪失確認通知書」と「離職票」が交付されます。資格喪失確認通知書の被保険者通知用と離職票は退職した従業員に渡します。

 

以上で、従業員が退職したときの手続きに関するおおまかな流れの説明が終わりました。

 

従業員が退職したときは、期限の決められたいくつかの手続き義務が生じます。「雇用保険 被保険者資格喪失届」と「雇用保険 被保険者離職証明書」は日数や賃金を記入する欄が多いため、慎重に数字を記入しなければなりません。

そのため、手続きや必要書類に漏れがないようにチェックリストなどを用いて確認すると安心です。

 

社会保険や労働保険の資格喪失手続きは、それぞれ書類の提出期限が設けられていますが、期限を過ぎたからといって、書類を受け付けてもらえなくなったり、資格喪失できなくなったりすることはありません。ただし、手続きが大幅に遅れると、退職した従業員の転職などに影響を及ぼす可能性もあるため、できるだけ早く手続きを済ませましょう。

 

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