【徹底比較】2~4指数をベンチマークとする投資信託【2022年上半期】

 

 

投資信託の醍醐味は、複数の資産に分散して投資できるというところにあります。

株式、債券、不動産投資信託証券(REIT)、上場投資信託証券(ETF)などの資産を組み合わせる場合、それぞれの資産を代表する指数も組み合わせることがあります(いわゆる合成ベンチマーク)。

複数の資産組み入れる、複数の指数をベンチマークに採用する投資信託は数多くあります。今回ピックアップする2~4指数をベンチマークとする投資信託は、つみたてNISA対応の商品においても34本あります(2022年4月現在)。

今回は、つみたてNISA対応の2~4指数をベンチマークとする投資信託34本を多角的に比較し、当サイト独自のランキングを決めていきたいと思います。

 

 

いきなり結果発表

 

 

ランキング候補一覧

 

2~4指数をベンチマークとするつみたてNISA対応の投資信託

商品名委託会社設定日
日本株式・Jリートバランスファンド:Jリート岡三アセットマネジメント株式会社2017年9月22日
ドイチェ・ETF・バランスファンド(愛称:プラチナコア):ドイチェドイチェ・アセットマネジメント株式会社2017年12月15日
NZAM・ベータ・日本2資産(株式+REIT):NZAM日本農林中金全共連アセットマネジメント株式会社2020年2月13日
NZAM・ベータ・米国2資産(株式+REIT):NZAM米国農林中金全共連アセットマネジメント株式会社2020年2月13日
楽天・インデックス・バランスファンド(債券重視型)(愛称:楽天・バンガード・ファンド(バランス債券重視型)):楽天債券楽天投信投資顧問株式会社2018年7月20日
楽天・インデックス・バランスファンド(均等型)(愛称:楽天・バンガード・ファンド(バランス均等型)):楽天均等楽天投信投資顧問株式会社2018年7月20日
楽天・インデックス・バランスファンド(株式重視型)(愛称:楽天・バンガード・ファンド(バランス株式重視型)):楽天株式楽天投信投資顧問株式会社2018年7月20日
グローバル株式ファンド(愛称:The GDP):The GDPスカイオーシャン・アセットマネジメント株式会社2019年7月31日
東京海上・円資産インデックス・バランスファンド(愛称:つみたて円奏会):円奏会東京海上アセットマネジメント株式会社2017年10月11日
〈購入・換金手数料なし〉ニッセイ・世界株式ファンド(GDP型バスケット):バスケットニッセイアセットマネジメント株式会社2020年6月29日
ニッセイ・インデックス・パッケージ(国内・株式/REIT/債券)(愛称:ファンドパック日本):パック日本ニッセイアセットマネジメント株式会社2017年11月7日
ニッセイ・インデックス・パッケージ(内外・株式)(愛称:ファンドパック3):パック3ニッセイアセットマネジメント株式会社2017年11月17日
eMAXIS Slim 全世界株式(3地域均等型):eMAXIS S三菱UFJ国際投信株式会社2018年4月3日
auスマート・ベーシック(安定):auauアセットマネジメント株式会社2018年9月19日
JP4資産均等バランス:JPJP投信株式会社2017年10月18日
ダイワ・ライフ・バランス30:ダイワ30大和アセットマネジメント株式会社2005年6月6日
ダイワ・ライフ・バランス50:ダイワ50大和アセットマネジメント株式会社2005年6月6日
ダイワ・ライフ・バランス70:ダイワ70大和アセットマネジメント株式会社2005年6月6日
東京海上・ターゲット・イヤー・ファンド2035(年金コンパス):年金2035東京海上アセットマネジメント株式会社2019年9月20日
東京海上・ターゲット・イヤー・ファンド2045(年金コンパス):年金2045東京海上アセットマネジメント株式会社2019年9月20日
東京海上・ターゲット・イヤー・ファンド2055(年金コンパス):年金2055東京海上アセットマネジメント株式会社2019年9月20日
東京海上・ターゲット・イヤー・ファンド2065(年金コンパス):年金2065東京海上アセットマネジメント株式会社2019年9月20日
〈購入・換金手数料なし〉ニッセイ・インデックス・バランスファンド(4資産均等型):ニッセイニッセイアセットマネジメント株式会社2015年8月27日
DCニッセイ・ワールド・セレクトファンド(安定型):DC安定ニッセイアセットマネジメント株式会社2017年7月14日
DCニッセイ・ワールド・セレクトファンド(株式重視型):DC株式ニッセイアセットマネジメント株式会社2003年1月10日
DCニッセイ・ワールド・セレクトファンド(債券重視型):DC債券ニッセイアセットマネジメント株式会社2003年1月10日
DCニッセイ・ワールド・セレクトファンド(標準型):DC標準ニッセイアセットマネジメント株式会社2003年1月10日
DCターゲット・イヤー・ファンド2040(4資産タイプ):DC2040三井住友DSアセットマネジメント株式会社2008年3月31日
DCターゲット・イヤー・ファンド2045(4資産タイプ):DC2045三井住友DSアセットマネジメント株式会社2008年3月31日
三井住友・DC年金バランス30(債券重視型):DC年金30三井住友DSアセットマネジメント株式会社2005年9月30日
三井住友・DC年金バランス50(標準型):DC年金50三井住友DSアセットマネジメント株式会社2005年9月30日
三井住友・DC年金バランス70(株式重視型):DC年金70三井住友DSアセットマネジメント株式会社2005年9月30日
eMAXIS バランス(4資産均等型):eMAXIS三菱UFJ国際投信株式会社2015年8月27日
つみたて4資産均等バランス:つみたて三菱UFJ国際投信株式会社2017年8月16日

設定日が最も古いものは、2003年1月10日のDCニッセイ・ワールド・セレクトファンド(債券重視型)、DCニッセイ・ワールド・セレクトファンド(標準型)、DCニッセイ・ワールド・セレクトファンド(株式重視型)で、最も新しいものは2020年6月29日の〈購入・換金手数料なし〉ニッセイ・世界株式ファンド(GDP型バスケット)です。

アクティブ運用に区分されている投資信託はありません。

 

基準価額&騰落率ランキング

 

基準価額は、DCニッセイ・ワールド・セレクトファンド(株式重視型)が28,551円でトップとなっています。1位~4位までは2万円台です。基本的に設定からの期間が長い商品が上位に入ってきます。当初設定額の1万円を切っている商品はありませんが、ギリギリのものはいくつかあります。

騰落率は、グローバル株式ファンド(愛称:The GDP)が50%となっています。次いで、eMAXIS Slim 全世界株式(3地域均等型)、NZAM・ベータ・米国2資産(株式+REIT)が40%台で続きます。30%台は3本、20%台は5本となっており、20%未満の商品が半数以上を占めています。また、東京海上・円資産インデックス・バランスファンド(愛称:つみたて円奏会)は唯一騰落率がマイナスとなっています。

 

純資産総額&資産の流入出ランキング

 

純資産総額は、DCニッセイ・ワールド・セレクトファンド(標準型)と、三井住友・DC年金バランス50(標準型)が、それぞれ約400億円で1位と2位になっています。1位~11位までは100億円を超えていますが、12位以下は100億円を切っています。また、7ファンドが1億円未満の規模となっています。全体として、ファンドの規模は小さい傾向にあります。

資産の流入出は、1~7の7段階で評価しています。いずれも、直近3年間(2019年~2021年)の資産の流入出の合計額を基準に評価をつけています。詳細は以下のとおりです。

  • 50億円超のマイナス
  • 10億円以上50億円未満のマイナス
  • 10億円未満のマイナス~10億円未満プラス
  • 10億円以上50億円未満のプラス
  • 50億円以上200億円未満のプラス
  • 200億円以上500億円未満のプラス
  • 500億円以上のプラス

34ファンドすべてが、5~3の評価に落ち着いてます。要するに、すこぶる大きな辛酸の流入がない一方で、目立った流出もない傾向にあるということです。バランス型の投資信託らしい結果であると言えます。

 

トータルリターン(平均年率)ランキング

 

トータルリターンは、過去3年間の平均的な年率で順位を決めています。全期間の平均的な年率で順位を付けると、設定からの期間が短いファンドが有利になるからです。ただし、34ファンド中8ファンドが、設定から3年が経過していないため、ランキングからは除いています。

3年間の平均年率が10%を超えているファンドは5本あり、すべて株式優位の運用をしているものになっています。1位のニッセイ・インデックス・パッケージ(内外・株式)(愛称:ファンドパック3)と、5位のeMAXIS Slim 全世界株式(3地域均等型)はすべて株式運用、2位の楽天・インデックス・バランスファンド(株式重視型)(愛称:楽天・バンガード・ファンド(バランス株式重視型))と、4位のDCニッセイ・ワールド・セレクトファンド(株式重視型)株式偏中の運用(30%程度が債券運用)、3位のドイチェ・ETF・バランスファンド(愛称:プラチナコア)が株式債券均等運用となっています。債券運用の比率が高いほどトータルリターンも下がっていきます。

 

信託報酬ランキング

 

1位は0.1073%のJP4資産均等バランスとなりました。同率2位は、eMAXIS Slim 全世界株式(3地域均等型)と、〈購入・換金手数料なし〉ニッセイ・世界株式ファンド(GDP型バスケット)となり、この3ファンドは別格の低コストです。その他、0.1%台のファンドが9本あり、最も信託報酬の大きいもので、0.5500%となっています。全体としては低コストの傾向にあると言えます。

購入時手数料と解約手数料がかかるのは、グローバル株式ファンド(愛称:The GDP)で、解約時手数料のみかかるのはドイチェ・ETF・バランスファンド(愛称:プラチナコア)です。2ファンドとも信託報酬もやや大きい部類に入ります。

 

おまけ

 

2~4指数をベンチマークとするつみたてNISA対応の投資信託(34ファンド)のうち、すべてのファンドがインデックスファンドとなっています。インデックスファンドの重要な評価事項の1つに、「ベンチマークとの乖離度」があります。

インデックスファンドは、ベンチマークと乖離がないほど評価が高くなります。具体的には、基準価額の騰落率と、ベンチマーク騰落率を比較し、その差を乖離度として評価します。一方、アクティブファンドはベンチマークを上回る運用を目指していますから、ベンチマークよりも騰落率が大きくなっていなければなりません。

2~4指数をベンチマークとするつみたてNISA対応の投資信託については、ベンチマークが明確に設定されていないもの、合成ベンチマークを採用しているもの、参考指数を採用しているものなどまちまちであり、ベンチマークの乖離度で順位を付けることはできません。ただし、個別の運用状況を確認する上では重要です。

 

取引のしやすさランキング

 

インターネット証券大手5社で取り扱っているかのランキングとなります。インターネット証券大手5社は、SBI証券、楽天証券、松井証券、SMBC日興証券、マネックス証券としています。

34ファンド中31ファンドが大手4社以上の証券会社で取り扱っています。4社と5社すべての違いはありますが、評価としては差を付けなくていいでしょう。auスマート・ベーシック(安定)は取り扱いが3社であるため、やや評価が下がります。JP4資産均等バランスと、グローバル株式ファンド(愛称:The GDP)はいずれの証券会社でも取り扱っていません。

 

当サイトの評価ランキング

 

当サイトでは、すべての投資信託において、純資産総額、資産の流入出、トータルリターン、信託報酬、ベンチマークとの乖離度、シャープレシオ、標準偏差の7項目を1~7段階(1が最も悪く7が最も良い)で評価値をつけています。7項目の合計値の順位も確認していきます。ただし、対象となる34ファンドは、設定から3年が経過していないものが多いうえに、ベンチマークの乖離度が明確になってないものもあるため、今回は参考程度に合計値、リスク値を算出するとともに、すべてのファンドで評価が付いている「純資産総額」、「資産の流入出」、「トータルリターン」、「信託報酬」の4項目計でランキングを決めました。

1位は4項目計20で同率1のDCニッセイ・ワールド・セレクトファンド(株式重視型)、DCニッセイ・ワールド・セレクトファンド(標準型)、楽天・インデックス・バランスファンド(株式重視型)(愛称:楽天・バンガード・ファンド(バランス株式重視型))のうち、合計値でもトップだったDCニッセイ・ワールド・セレクトファンド(標準型)になりました。4項目合計で見ると4位は同率で4ファンドが並びますが、合計値の高いDCニッセイ・ワールド・セレクトファンド(債券重視型)と、三井住友・DC年金バランス50(標準型)が入りました。結果、DCニッセイ・ワールド・セレクトファンドシリーズがランキングを独占しました。

合計値や4項目計も重要ですが、全体としてバランス型の投資信託の傾向にありますので、リスク値も重要になります。他の項目では評価が低かったものの、リスク値の評価が高いファンドは、本来の目的である資産の安定運用や分散投資の観点からみると、十分に価値があると言えます。

 

総合ランキング

 

2~4指数をベンチマークに採用するバランス型の投資信託が多いため、収益性よりも安定性が求められる傾向にあります。そのため、純資産総額などのファンドの安定性が非常に重要になってきます。債券も含めた分散投資が運用の目的になってくるため、標準偏差は小さくなることが前提となります。リスク値は株式運用の投資信託よりも評価されます。コスト面はそこまで大きな差はありませんが、トータルリターンが小さくなるため、コストパフォーマンス上重要になります。

純資産総額は100億円を超えていれば問題ないでしょう。資産の流入状況や騰落率は将来性を表す指標でもあるため、重要な指標となります。数字の良いものは加点され、悪いものは減点されます。

信託報酬は0.1%と優、0.2%以上0.4%未満は良、0.4%以上は可、の評価になります。

取引のしやすさは個人投資家を対象としたランキングにおいて重要です。当サイトの評価は参考程度の指標となります。

 

 

5位

〈購入・換金手数料なし〉ニッセイ・インデックス・バランスファンド(4資産均等型):ニッセイアセットマネジメント株式会社

トップ5の中で、シリーズ商品ではないファンドは当ファンドだけです。各評価項目では必ず上位に入ってきますが、なかなかトップ5には顔を出しませんでした。目立って優れたところはありませんが、大きなマイナスポイントもないファンドであるといえます。投資対象の国内株式、国内債券、外国株式、外国債券に均等に投資しているため、運用がわかりやすいという点は評価すべきところでしょう。同シリーズの〈購入・換金手数料なし〉ニッセイ・世界株式ファンド(GDP型バスケット)は、今後の成長が強く期待される商品です。

 

4位

三井住友・DC年金バランスシリーズ:三井住友DSアセットマネジメント株式会社

 三井住友・DC年金バランス30(債券重視型)、三井住友・DC年金バランス50(標準型)三井住友・DC年金バランス70(株式重視型)の三井住友・DC年金バランスシリーズ3ファンドが4位になりました。3ファンドの中では、株式重視型が最も評価が高くなります。4位~1位まではすべて3タイプのバリエーションがあるシリーズ商品がランクインしていますが、その3パターンの中では基本的に株式重視型>標準型>債券重視型の順でh投下が高くなっています。当ファンドの強みは設定からの経過年数にあります。

 

3位

ダイワ・ライフ・バランスシリーズ:大和アセットマネジメント株式会社

ダイワ・ライフ・バランス30、ダイワ・ライフ・バランス50、ダイワ・ライフ・バランス70のダイワ・ライフ・バランスシリーズ3ファンドが3位になりました。末尾の数字(30・50・70)は株式の投資比率を表しています。4位と同様に、設定から20年近く経過していることが強みです。バランス型の投資信託は前述のとおり、安定感が求められる商品でもあるため、歴史があるというのはそれだけで(投資家心理上)プラスになります。信託報酬が0.2%台という数字は、トップ5の中では比較的大きい方です。

 

2位

楽天・インデックス・バランスファンドシリーズ:楽天投信投資顧問株式会社

楽天・インデックス・バランスファンド(債券重視型)(愛称:楽天・バンガード・ファンド(バランス債券重視型))、楽天・インデックス・バランスファンド(均等型)(愛称:楽天・バンガード・ファンド(バランス均等型))、楽天・インデックス・バランスファンド(株式重視型)(愛称:楽天・バンガード・ファンド(バランス株式重視型))の楽天・インデックス・バランスファンドシリーズの3ファンドが2位になりました。比較的若いファンドであるものの、古株シリーズを追い抜く勢いで成長しています。多くの評価項目でトップ5にランクインしました。同シリーズの最大のポイントは、投資対象が先進国株式と世界債券の2つの資産という点にあります(他のトップ5の商品はすべて4つの資産)。結果、収益性が他のファンドに比べると高くなっています(国内株式に比率が下がり、米国株式に比率が高くなるため)。

 

1位

DCニッセイ・ワールド・セレクトファンドシリーズ:ニッセイアセットマネジメント株式会社

DCニッセイ・ワールド・セレクトファンド(債券重視型)、DCニッセイ・ワールド・セレクトファンド(標準型)、DCニッセイ・ワールド・セレクトファンド(株式重視型)のDCニッセイ・ワールド・セレクトファンドシリーズ3ファンドが1位になりました。設定からの期間にものを言わせたかたちになりました。結果的に、2~4指数をベンチマークとする投資信託においては、ニッセイ勢が強かったようです。常にトップ5に食い込んでいました。1位、3位、4位あたりは当面の間、地位が揺らくことはないでしょう。

 

以上、2~4指数をベンチマークとするNISA対応の投資信託の独自のランキングでした。投資信託は日々変動していくものです。経過に応じて評価も変動していきます。今回のランキングも定期的に更新していきたいと思います。

 

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