【完全保存】従業員が妊娠・出産・育児・介護をするときの手続き

 

 

従業員が妊娠・出産・育児・介護をするときの手続きに関するおおまかな流れは、次のようになっています。

 

  • 産前:産前休業の取得および出産手当金の支給申請
  • 出産:出産育児一時金の支給申請
  • 産後:産後休業の取得および出産手当金の支給申請
  • 育児:育児休業の取得および育児休業給付金の支給申請
  • 介護:介護休業の取得および介護休業給付金の支給申請

 

①~④までは、妊娠⇒出産⇒育児までの連続的な流れの手続きとなります。ただし、人によって休業の取得の仕方や手当金の受給要件に違いがあります。⑤は①~④の流れとは連続しませんが、④と⑤の手続きは非常に似ています。

 

上記の①~⑤の項目の詳細を説明していきます。

 

 

産前

 

健康保険の被保険者である従業員が、産前休業を希望した場合、会社は出産予定日の42日前(6週間前)からその従業員を休ませなくてはなりません。

産前休業は、出産予定日からさかのぼって最大42日間取得できます。ただし、出産予定日よりも先に出産した場合は出産日までに短縮され、出産予定日よりも後に出産した場合は出産日までに延長されます。

井上とまと

出産予定日や出産日は「産前」に含まれます。

産前休業中は仕事を休んでいるため、従業員に給与を支払う必要はありません。ただし、従業員が健康保険の被保険者である場合は、健康保険から出産手当金が支給されます。

出産手当金の申請は、管轄する全国健康保険協会(協会けんぽ)や健康保険組合に、「出産手当金支給申請書」を提出することで行われます。

 

出産

 

出産は傷病ではないため、健康保険の負担割合(3割)が適用されません。そのため、出産にかかる費用は、全額自己負担となります。

しかし、健康保険の補助制度である出産育児一時金を申請することで、出産にかかる費用の大部分を補うことができます。出産育児一時金は現金(42万円)が支給される給付金です。

出産育児一時金の申請は、管轄する全国健康保険協会(協会けんぽ)や健康保険組合に、「被保険者(家族)出産育児一時金申請書」を提出することで行われます。

産婦人科などの医療機関で出産育児一時金の説明を受けたとき、直接支払制度を利用するか・しないか聞かれます。通常、出産にかかる費用は、健康保険の被保険者である従業員(もしくはその家族)が、産婦人科などの医療機関に支払います。支払に前後して、出産育児一時金が振り込まれるため、一時的とはいえ、従業員の経時的な負担は大きくなります。しかし、直接支払制度を利用することで、42万円が保険者から産婦人科などの医療機関に直接支払われ、従業員は実費と42万円の差額分だけの支払だけで済むことになります。

井上とまと

特別な理由がない限り、直接支払制度を利用した方がいいでしょう。もし、実費が42万円以下だった場合は、差額分を請求することもできます。

 

産後

 

産後休業は、健康保険の被保険者である従業員の希望の有無にかかわらず、会社は必ず取得させなければなりません。産後休業は出産日の翌日から56日間(8週間)と決められています。ただし、医師の許可がある場合は、56日を42日(6週間)に短縮することができます。

井上とまと

産前休業は従業員が希望した場合に取得させなければなりませんが、産後休業は必ず取得させなければなりません。

産後休業中は仕事を休んでいるため、従業員に給与を支払う必要はありません。ただし、従業員が健康保険の被保険者である場合は、健康保険から出産手当金が支給されます。

出産手当金の申請は、管轄する全国健康保険協会(協会けんぽ)や健康保険組合に、「出産手当金支給申請書」を提出することで行われます。

 

育児

 

健康保険の被保険者である従業員が、育児休業を希望した場合、会社は育児休業の対象となる子どもが1歳に達するまでの間、その従業員を休ませなくてはなりません。原則、子供1人につき1回で、男女(父母)は問いません。

井上とまと

育児休業の取得期間は子どもの出産日から子どもが1歳の誕生日の前日までの1年間です。ただし、女性(母親が)が産後休業から連続して育児休業をす得する場合、育児休業期間は1年間よりも短くなります。

育児休業中は仕事を休んでいるため、従業員に給与を支払う必要はありません。ただし、従業員が健康保険の被保険者である場合は、健康保険から育児休業給付金が支給されます。

育児休業給付金の申請は、管轄する公共職業安定所(ハローワーク)に、「休業開始時賃金月額証明書」および「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書」を提出することで行われます。

「休業開始時賃金月額証明書」および「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書」を提出のときには、「労働者名簿」、「賃金台帳」、「出勤簿」、「母子手帳」などを添付する必要があります。

 

前述のとおり、育児休業は原則として1年間ですが、保育所に入所できない場合や子どもに障害のある場合など、やむを得ない事由があるときは、子どもが1歳6か月に達するまで、もしくは子どもが2歳に達するまで延長することができます。

育児休業を延長する申請も、「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書」を提出することで行います。

 

介護

 

健康保険の被保険者である従業員が、介護休業を希望した場合、会社は93日を上限として、その従業員を休ませなくてはなりません。

介護休業は、93日を上限として最大3回まで取得できます。介護休業の対象となる家族の範囲は、次のように定められています。

  • 配偶者(事実婚を含む)
  • 父母
  • 子(養子を含む)
  • 配偶者の父母
  • 祖父母、兄弟姉妹、孫

介護休業中は仕事を休んでいるため、従業員に給与を支払う必要はありません。ただし、従業員が健康保険の被保険者である場合は、健康保険から介護休業給付金が支給されます。

介護休業給付金の申請は、管轄する公共職業安定所(ハローワーク)に、「休業開始時賃金月額証明書」および「介護休業給付金支給申請書」を提出することで行われます。

「休業開始時賃金月額証明書」および「介護休業給付金支給申請書」を提出のときには、「労働者名簿」、「賃金台帳」、「出勤簿」などを添付する必要があります。

 

以上で、従業員が妊娠・出産・育児・介護をするときの手続きに関するおおまかな流れの説明が終わりました。

 

従業員が妊娠・出産・育児・介護をするときの手続きは、従業員がそれぞれの休業や給付を希望したときに発生するものです。希望しない場合は、会社に手続きを行う義務は生じません。ただし、今回紹介した諸々の手続きは、従業員の人生や生活を豊かにする上で、非常に重要なものとなっています。日ごろからコミュニケーションをとり、あらかじめ希望や意向を聴取しておくと、手続きをスムーズに進めることができるでしょう。

 

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